再分配の2つのモデル: 利他性説と権利説
epistemic status: 読む必要がない
再分配が存在する理由には大きく分けて2つ考えられると思う。1つは利他性型、もう1つは権利型。
これは道徳的理由ではなく、因果的説明である。道徳的理由は、限界効用逓減の法則とかによるものがゆうめいだ。
利他性/権利というのは、つまり寄付における譲渡みたいなものなのか、地主が地代を取るようなものなのかという意味
政治的権利を持つというわけではないが、再分配で取られる側が利他的であるが、それは帰結主義的に貧しい者の厚生を気にかけているわけではなく、送られる側に対し道徳的権利を認めているという複合版は無いのか
前者に帰結主義的な利他性だけを仮定するのは不当な限定では
二分法に当てはまらない例として、不運により財産を失ったときの保険の効果を期待されているため存在するなどもある (それは因果的説明か?)(まあそれによって支持される→支持されることによって実施される という因果関係ならそうでは)
Inspired by:
Of course, the US doesn’t just have assets. Sadly, it also has debts. Some of these debts, such as T-bills, are already very well-formalized. Others, such as Social Security and Medicare, are informal and subject to political uncertainties. If these obligations were reformalized, their recipients could only benefit. Of course, they would thus become negotiable instruments and could be, for example, sold. Perhaps in exchange for crack.
この二分法自体に対する反論
> Suppose that one hundred years ago someone tried to persuade me that democratic institutions could be used to transfer money from the bulk of the population to the poor. I could have made the following reply: “The poor, whom you wish to help, are many times outnumbered by the rest of the population, from whom you intend to take the money to help them. If the non-poor are not generous enough to give money to the poor voluntarily through private charity, what makes you think they will be such fools as to vote to force themselves to take it?”
I think I have a good answer to this question. Nobody’s vote makes very much difference, so people are happy to vote for signaling/psychological reasons rather than financial ones. If casting my vote to help the poor makes me feel like a good person, but losing money in redistribution schemes makes me poorer, well, my vote 100% determines whether I feel good or not, but only 1/300-million determines whether I get poorer. This might also be profitably mapped onto construal level theory, ie Robin Hanson’s Near Mode vs. Far Mode.
権利説
1つは金持ちが利他的かどうかに関わらず、貧乏人に権限 (裁判所で政府を生存権で訴えるとかだけではなく、投票によって保証されるかもしれない) があるというものである。 これは金持ちが少数(あるいは経済的には豊かでも政治的には権力をもたない)である場合 (つまり課税前所得がピラミッド状の場合) にもっともらしい (多数決に力がある と考えれば)。
この場合、再分配を受ける権利を売ってパチンコや麻薬やったとしても、(正味の)納税者側から文句を言うことは出来ない
(自分の権利であれば本当に自分のためにならないとしても売ることができるはず)
この場合にパターナリズムを含めたフードスタンプのようなことをする根拠はない。
→なぜなら民主的に決定するときには頭がいいが、自分でお金を使うときには頭が悪いなどというのは変だからだ。(むしろ合理的無知やBryan Caplanの議論からすれば逆ではないか。)
→しかし、頭がいい政治家や官僚にdelegateできるからというのは?
→いや、負の所得税であったとしても、自分で買わず頭いい人にdelegateすることは可能だろう。投票時点でdelegationの必要性を理解できるなら投票時点以外でも理解できるだろう
→個々にdelegateするよりみんなでやったほうがコストが低い?
→
→双極割引からのコミットメント問題?
→銀行に頼んでコミットすればよい。
→双曲割引回避のためのコミットメントメカニズムはそれ自体が先延ばしされるのでは仕方ないから、ちゃんとした民間のパターナリズム主体を見つけて契約する短期的なめんどくささが、ちゃんとしたパターナリズム的政治家を見つけて投票する短期的なめんどくささより大きいなら、政府を使って自己を縛るコミットメントを行うのはありえる行動なのでは
(今貧しくない人が、なんらかの不運により貧しくなったときには意思決定能力が下がるだろうとあらかじめ予想してあらかじめパターナリズムされることに合意するという可能性もあるかもしれない?)
じっさいに与えられている社会保障などは複数の勢力のシェリングポイントとして働くのかもしれない もしくは 損失回避(プロスペクト理論)によるもの
参照点を動かすのが政治
利他性説
もう1つの説: 再分配が存在するのは金持ち(あるいは政府の人間、政府に影響力のある人間、など)が利他的だからである。
これはある意味、再分配は寄付みたいなものだ、ということである。
ではなぜ、自発的な寄付ではなく政府による強制が必要となるか。
それはフリーライダー問題が存在するからである (マンキュー経済学ミクロ編でこの説が紹介されている)。
だれか他の人が寄付してくれるだろうと思うので、誰もしないということだ。←訂正: いやそれはフリーライダー問題ではない。本当のフリーライダー問題では他人が寄付しようがしなかろうが自分に寄付するインセンティブはない。それがナッシュ均衡というものだ。結局マンキューは手元にないのでどういう意味でフリーライダー問題って言ったのか分からないし、それゆえ以下のフリーライダー問題を解決するために区画化・私有化? みたいな議論も意味がない。
@ayu_mushi: 私はフリーライダー問題についてばかな勘違いをしていて、結果として全然 理解していなかったっぽいことが判明した なんか私は、傍観者効果みたいなやつと、フリーライダー問題とを混同していたっぽい。
(お金持ちではなく政府の人間が利他的であるために再分配が実現されている場合、これはかんたんで、徴税したお金を自分のポケットに入れてそれから寄付すればいいじゃん といってもそういう操作は禁止されているから。)
〔追記: 「まとまったお金がないと効果が少ないので、他の人も寄付するという条件のもとでのみ自分も寄付したい」と考える人が多いかもしれないという問題もあるのでは (これはコーディネーション問題?)
あるいは全員引かれた場合には顕示的消費に使う必要がなくなるため、それぞれのダメージが少ない。
お金自体が地位財である場合も、同様。
〕
効率的な自発的寄付の形態がもし存在するならば、強制的な再分配は必要ない(フリーライダー問題を回避できるかもしれない例: ネオカメラリズムにおける救貧の問題)〔追記: それはフリーライダー問題ではないので、解決になっていない〕。 利他性説に基づけば、寄付の仕組みがうまいのがあればお金持ちは勝手に寄付できるならするとも考えられる。
そこで、再分配用の税の支払いを任意にすることを考える。
税はオプショナルな部分と強制の部分にわける。
オプショナルな部分は、税を払う人が好きな額を支払い、任意の政府事業を選び、それに支払う。
収入が一定以下の人に好きな金額を転送する(何かしらの収入から金額への関数を好きに設定してもいいかも)、一定のマイノリティに好きな金額を転送するなどのこともできると面白いかもしれない。
(この場合、税によって働く気がなくなるという作用はなくなる。なぜなら、そもそも寄付したかったならば、働く気を無くす必要はない)
〔追記:
にそのような考えがある〕
@BrianCAlbrecht: People know they can donate their money right? Including to the US federal government https://pbs.twimg.com/media/FfrwNNeaUAU6aog.jpg
Gifts to the U.S. Government
How do I make a contribution to the U.S. government?
Citizens who wish to make a general donation to the U.S. government may send contributions to a specific account called "Gifts to the United States."
実際にアメリカ合衆国政府に寄付することは可能っぽい
公営のチャリティ・フィランソロフィーになる。
義援金のしくみが近いか
政策が通るかどうかではなく資金源にしているだけなら大丈夫?
お金を与えているならそこで公的組織との間で何かしら良くない交渉が発生する余地はあるのでは
〔↓ 一般的にフリーライダー問題を一般的に区画化・私有化で解決できるというのを雑に適用してみたが、これが意味があるのかは不明。(どちらかというと傍観者効果を念頭に置いてフリーライダー問題と言ってしまった気がする)〕
自発的に政府に寄付するだけではフリーライダー問題を解決できない。
そこで、貧困者を一定の区画に分け、あるカテゴリの貧困者はお前しか救えないという状況を作ることで、フリーライダー問題を解決することが考えられるかもしれない。〔これは嘘。フリーライダー問題ではないため。これはコーディネーション問題の解決になってはいるが、フリーライダー問題の解決にはならない。その区画の人が死んだら罪悪感を感じるということで利得行列が変わりフリーライダー問題の対策になるかもしれないけど、あんまり
〕
媚びるのがうまい人や、容姿の良い人間、特に憐憫を誘いやすい容姿をした人間だけが救われることになるのでは
区画全体に無差別に寄付するほうがvirtue signalingになるということだといい
利他性説の場合で、フードスタンプのようなパターナリズム的(?) 再分配をする理由としては、そっちのほうが受益者のためになるからというより(いやパターナリズムの定義に厳密に行くならそうでなければならないが)、払う側の都合として、受益者のパチンコに使われる場合にはそもそも税を払いたくない、再分配政策に賛成したくない、という理由も考えられる (と言われているのを聞いたことがある(本当か?))。
この場合、払う側が、個人の判断で紐付き補助金のようにできるようにすることも考えられる。
(そうする選択肢があるほうが払う側個人個人の好みに合うので、寄付額が多くなることが予想される)
なんか救貧政策の私有化? っぽいやつ